DAY 12:複数EAを選ぶときの基準―ロジックの重複と相性を見極める
前回は複数EAを組み合わせるメリットや、相関の低いロジック同士を選ぶことでリスクを分散できるお話をしました。
今回は、その「複数EAを選ぶ際に着目すべきポイント」にもう少しフォーカスしていきましょう。
同じタイプのEAを並べても効果が薄い場合や、逆に複数EAを使うことでかえってリスクが高まる場合などもあります。
ロジックタイプの重複は避けたほうがいいのか
一概に「重複を絶対に避けるべき」とは言えませんが、似たようなロジックを複数稼働させると、同じタイミングで失速してしまうリスクが高まります。
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同じテクニカル指標ばかり使っていないか
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例:すべてのEAが移動平均線クロスやRSIなど、同じ指標と条件でエントリーしている
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同じシグナルに反応するので、利益も損失も偏りやすいでしょう。
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同じ時間軸や手法に偏りすぎていないか
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全部が短期スキャルピング系だったり、すべてが中長期トレンド追随型だったりすると、相場環境によっては一斉に連敗する可能性が高まります。
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複数EAを組み合わせる本来の目的は、得意分野が異なるロジック同士を補完し合うことです。
重複が多いと、分散効果が薄れるので注意しましょう。
通貨ペアの組み合わせも重要
先の記事でも触れましたが、通貨ペアの相関はEA運用を安定させるうえで大切な要素です。
複数のロジックを使っていても、すべて同じ通貨ペア(例えばドル円だけ)に集中していると、ドル円特有の動きに影響されやすくなります。
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主要通貨ペアだけでなく、クロス円やマイナー通貨にも目を向ける
もちろんマイナー通貨はスプレッドが大きめになることもあり、検証コストやリスクが上がる面はあるかもしれません。
しかし、ある程度分散が効くとトータルの収益曲線が安定する可能性も。 -
通貨ペア特有のボラティリティを意識する
ユーロドルは比較的スプレッドが狭い反面、トレンドが出にくい期間もあります。
ポンド系は動きが大きく、ブレイクアウト型ロジックに向いている一方で、急騰急落が激しいことも。
こうした特徴を把握しつつ、ロジックと通貨ペアをうまく組み合わせると効果的です。
損失が集中しない工夫
複数EAを稼働させるとき、どのEAも同じタイミングでポジションを持ち始めてしまうと、万が一の逆行で一斉に損失が発生するリスクがあります。
そのため、運用時間や最大ポジション数の調整を検討することも重要です。
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稼働時間帯をずらす
例えば、あるEAは欧州時間メインで動かし、別のEAはアジア時間に強いスキャルピングを狙う、といった具合に時間帯をシフトさせる方法があります。 -
EAごとに最大ポジション数を設定
ロジックによっては、マーケットの状況次第で複数ポジションを持つ場合があります。
すべてのEAが同時にポジションを積み上げると証拠金を圧迫し、思わぬ追証リスクが高まるので、EA単位でのポジション制限を考えてみましょう。
ロジックの相性をテストする方法
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単体バックテストの把握
まずは各EAを単独で十分にバックテスト・フォワードテストし、勝率やドローダウン、得意とする相場環境などを把握します。 -
期間・通貨ペアを合わせた「仮想合算」
特定のソフトウェアやExcelシートなどで、複数EAのバックテスト結果を合算して資産曲線を作ることも一つの手段です。
どの期間でドローダウンが重なるか、得意相場はいつか、といった点を確認しやすくなります。 -
小ロットで実際に稼働してみる(フォワードテスト)
仮想合算だけでは分からない、「同時エントリー頻度」「実際のスプレッド影響」などが見えてきます。最初はリスクを抑えながら、小規模で実験的に運用してみると安心です。
今日のまとめと次回予告
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複数EAを組み合わせる際は、ロジック・通貨ペアが重複しすぎないよう工夫し、相関が高まらないように注意
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EAごとに稼働時間帯や最大ポジション数を調整することで、損失が集中するリスクを分散できる
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単体検証だけでなく、複数EAの合算資産曲線を確認したり、小ロットのフォワードテストを行い、相性をしっかり見極めると良い
次回(DAY 13)は、**「EA運用と資金管理―損失回避を第一に考える」**をテーマに、トレーダーにとって本質的に大切な「どう資金を守りながら増やすか」という課題をEA運用の視点から解説します。
複数EAを組み合わせる際の資金管理にも通じる内容ですので、ぜひお楽しみに。
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