DAY 11:複数EAのポートフォリオ運用―リスク分散と収益安定化
前回は、バックテストにおけるスプレッドやスリッページなど、実運用とのギャップを最小化するうえで注意したいポイントをお伝えしました。
ここからは、もう少し運用面に視野を広げてみましょう。
今日は**「複数EAのポートフォリオ運用」**という視点から、リスク分散や収益の安定化を追求する方法を考えていきます。
なぜ複数EAを組み合わせるのか
1つのEAに全資金を委ねる場合、そのEAロジックが苦手とする相場局面にハマったとき、どうしてもドローダウンが集中しやすいリスクがあります。
一方、**複数のEAを組み合わせる(ポートフォリオ運用)**ことで、ロジック間の得意・不得意を補完し合い、トータルでの収益曲線を安定させる可能性が高まります。
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異なる時間軸・手法のEA同士を組み合わせる
例えば、トレンドフォロー型EAとレンジ逆張り型EA、短期スキャルピングEAと中長期ブレイクアウトEAなどを組み合わせることで、一方が不調なときに他方がパフォーマンスを支えることがあります。 -
通貨ペアの分散
同じ手法でも、異なる通貨ペアを扱うEAを複数稼働させておくと、特定の通貨ペアが荒れたときのドローダウンを一定程度カバーできるかもしれません。
相関を意識したポートフォリオ構築
株式や投資信託の世界では「相関係数」という言葉をよく聞くように、為替でも通貨ペアやロジックの組み合わせにおいて相関が高い・低いという概念があります。
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高い相関:同じタイミングで勝ち負けが偏りやすい
たとえば、同じ通貨ペアをほぼ同じロジックでトレードするEAが2つあっても、大きな意味ではリスク分散が効きにくいかもしれません。 -
低い相関:収益の安定化に寄与しやすい
片方のEAが不調でも、もう片方が別のロジック・通貨ペアで利益を出し、全体として資金曲線が穏やかに推移することが期待できます。
相関を厳密に数値化するのはやや難しい面もありますが、少なくとも**「同じタイプのロジックか」「同じ通貨ペアに依存していないか」**などを意識するだけでも、分散効果は上がるでしょう。
資金管理を複数EAでどう分配するか
複数EAを同時稼働させるときは、それぞれのロット設定や資金配分を考える必要があります。
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一つひとつのEAが想定する最大ドローダウンを把握
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たとえば、バックテストやフォワードテストで判明した最大DDや想定DDを参考にします。
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EA同士が同じタイミングでドローダウンに陥る可能性もあるため、リスクオフに備えた資金準備をしっかり行いましょう。
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「均等配分」よりもリスク加重が望ましい場合も
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安定度の高いEAにはやや多めの資金を、ドローダウンが大きいEAには少なめの資金を、という具合に調整しておくと、トータルでパフォーマンスを滑らかにすることが期待できます。
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稼働停止ラインのルール化
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もし特定のEAが大きなドローダウンを起こした際には一時停止する、といった基準をあらかじめ設定しておくと、余計な損失拡大を防ぎやすくなります。
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ポートフォリオ全体のドローダウンが一定ラインを超えたら、すべてのEAを一時停止して再検証を行うという手段も。
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定期的な成果の振り返りとリバランス
複数EAを導入したからといって、放置状態でずっと安定するわけではありません。定期的にポジション履歴やドローダウン状況、相場環境の変化をチェックし、必要に応じて調整しましょう。
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3~6か月ごとの見直し
相場のボラティリティが変わったり、経済政策が変わったりと、マーケット環境は絶えず動きます。少なくとも数か月単位で、ポートフォリオ内のEAを見直すと良いでしょう。 -
相関の変化にも要注意
一時期は低相関だったEA同士が、相場観の変化で同じようなエントリータイミングを取るようになることも。期間を決めて相関の度合いを再チェックすると安心です。
今日のまとめと次回予告
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複数EAを組み合わせることで、得意・不得意の異なるロジックを分散運用し、収益の安定化を狙う
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相関が低いEAや異なる通貨ペアに分散するほど、ドローダウンリスクを抑える効果が期待できる
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資金管理をEAごとに適切に配分し、定期的なリバランスや見直しを行うことで長期的な安定を目指す
次回(DAY 12)は、**「複数EAを選ぶときの基準―ロジックの重複と相性を見極める」**をテーマに、具体的な組み合わせの考え方をさらに詳しく掘り下げていきます。
どんなロジック同士が相性が良いのか、または避けるべき組み合わせは何かを考えてみましょう。
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さまざまなタイプのEAを比較しながら、相互の補完性を意識した運用を目指していただければと思います。
次の記事では、複数EAの選定ポイントを具体的にご紹介していきます。
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