【EAリアル運用】HISUI【負けパターン1】
FX
1.はじめに
閲覧いただき誠にありがとうございます。
EA(Expert Advisor)である「HISUI」の開発者「今川もちょ」です。
ここでは、私のリアル口座で運用中の「HISUI」が、実際にどのような自動トレードをしてくれているかについて、開発者視点で、公開できる範囲の内部ロジック含めて解説していきます。
以下のような人の参考になるように記載しますので、興味がありましたら是非ご一読いただけると幸いです。
- 「HISUI」の購入を検討しているが、リアル口座で実際にどのような自動トレードをするのか、検討材料等のために見てみたい。
- 「HISUI」の購入は検討していないが、EAに興味があり、EAについて理解を深めるための勉強・参考等としてリアル運用の紹介・解説を見てみたい。
- 「HISUI」を購入済みで、実際に運用しているが、正常に動作しているか不安がある(例:自動トレードは動いているが、エントリーや決済をした位置が仕様どおりなのか不安等)。
「HISUI」のリアル運用中の動作を、勝ち(利益を得た)パターン、負け(損失が出た)パターン、同値撤退(ほぼプラスマイナスゼロ付近で決済)パターンなどの幾つかのパターンに分けて、複数記事に分けて連載する予定です(記事はすべて無料で公開します)。
前回の記事では「HISUI」の勝ちパターンを2つ紹介させていただきましたので、今回は予告どおり負けパターンを紹介させていただきます。
2.「HISUI」の負けパターン(A)
下図は2025年1月24日(金)にエントリーし、1月27日(月)に損切りしたリアルトレード結果です。チャートは5分足(M5)、赤矢印がロングエントリー、ピンク矢印が決済です(画像が横長で見づらいため、赤矢印のあたりを赤枠、ピンク矢印のあたりをピンク枠で囲んでいます)。
このトレードの解説の前に、前提となる「HISUI」の決済手法について解説させていただきます。
「HISUI」の決済パターンは複雑です。「HISUI」のTP(テイクプロフィット=利確)やSL(ストップロス=損切り)までのpipsは固定ではなく、相場の値動きが激しいときはTP・SLを遠く、値動きが小さいときはTP・SLを近くするという戦略をとっており、エントリー後も常に相場の変動、ポジション保有時間等からより適切な決済位置を再計算し続けています。
また、「HISUI」はエントリー時にTPやSLを設定していますが、これは主に何らかの理由でMT4が止まってしまった場合(例:MT4を動かしているVPSの緊急メンテナンスや障害等の際)に、ポジションを持ち続けてしまうリスクを軽減するための予防措置のようなもので、ほとんどのケースでは上記の再計算により算出した価格で成り行き決済します。
さらに、エントリーと同時に設定するTP・SL価格は、それぞれ以下の理由から意図的にやや遠くに設定します。
- TP価格をやや遠くに設定する理由:経済指標の発表等により、一瞬でプラス方向に窓開けした場合に、十分な利益を得ることを目的にしています。TPが近いと、そのようなケースでも利益が限定されてしまうためです。
- SL価格をやや遠くに設定する理由:朝の一時的なスプレッドの拡大で損切りにならないようにすることを目的にしています。SLが近いと、一時的にスプレッドが拡大して損切りになってから、スプレッドが戻ると結局は元の価格になり、結果的に勝てたというケースが多々あるためです。
さて、本題に戻って、上図のトレードの解説です。
このトレードは1月24日(金)にロングしたものの、その後緩やかな下降トレンドになってしまい、最終的には1月27日(月)の朝に損切りで決済したものです。
ここで注目していただきたい点が2つあります。
(1)月曜日朝のスプレッド開きで決済(損切り)していない点
日本では月曜朝(7時頃)に相当するのが下図の赤枠の部分です(上図の決済位置近くを抜粋しています。画像下部の日時は日本時間ではなく、表示日時に+7時間した時間が日本時間です)。
一般的に月曜日の朝は特にスプレッドが開きやすく、ここでは実際に300ポイントほどスプレッドが開いていました。
仮にこのようなところで損切りしてしまうと、スプレッドの開き分、損をしてしまうことになります。
また、ご覧のとおり、月曜朝のスプレッドの開きは、時間の経過で元の価格に戻ることが多いです(※土日に為替へ影響がある重大イベントがあった場合等は、その限りではありません)。
そのため、「HISUI」は上述したとおりの決済戦略により、月曜朝のスプレッド開きでは原則として決済せずに、スプレッドが狭くなるのを待ちます。
(2)底値ではなく、ある程度戻した位置で決済(損切り)している点
スプレッドが狭まった後も、下図の赤枠の部分のように価格は上下していますが、その中でも、低い価格ではなく、少しでも戻した点を見極めて決済しています。
これも「HISUI」の決済戦略の一つです(以下「有利価格決済」と称します)。
有利価格決済を積極的に開始するポジション保有時間をパラメータで設定できるようになっており、初期(推奨)設定は1020分(17時間)です。つまり、エントリーから17時間経過後は有利価格決済をする可能性が上がります。
なお、当該設定時間になる前でも、相場の変動次第では有利価格決済の動きをする場合があります。
このように、「HISUI」は、損失になるパターンにおいても、可能な限り損失を減らすようなロジックを持っています。
3.「HISUI」の負けパターン(B)
続いて、別の負けパターンも紹介します。下図は2025年1月31日のリアルトレード結果の一つです。チャートは5分足(M5)、青矢印がショートエントリー、ピンク矢印が決済です。
このように、エントリー後、想定と逆方向に急激に動いてしまった場合、有利価格決済できずに損切りになる場合もあります。
ただし、エントリー時に設定したSLに到達する前に成り行きで損切りしているため、パラメータで設定している「対余剰資金リスクパーセント」未満の損失額で済んでおり、リスクを適切にコントロールできています。
また、上図の損切り後の相場の動きを見ての結果論としては、高値で損切りをしてしまっているため、もう少し待っていれば、有利価格決済もできたと考えられます(後出しジャンケンでしかなく、ここで損切りをしていなければ更に損失が拡大していた可能性もありますが……)。
損切りまでの距離は、パラメータ設定の変更によって、より遠くにすることも、近くにすることも可能です。
そのようなパラメータ設定の変更をする場合は、ご利用者様にて十分検討のうえ、慎重に実施されることを推奨します。
特にご注意いただきたいのは、直近数回の動きだけ見て、パラメータ設定を頻繁に変更することは好ましくないということです。それは、直近の相場にカーブフィッティング(過剰最適化)しているだけの可能性が高いためです。
私が「HISUI」の推奨設定値を決める際には、単なるバックテストのみによる最適化ではなく、ウォークフォワードテストを行ったうえで、実際の口座でのフォワードも行っています。また、一般的にはバックテスト期間を長く、取引回数を多くすることでカーブフィッティングの可能性は下がると言われているため、「HISUI」はバックテスト期間15年・取引回数1万回以上で十分な勝率・利益を達成するように調整しています。
このように、製作者としては、少なくとも「HISUI」販売開始時点では最も良いと考えるパラメータ設定を初期(推奨)設定にして販売しております(※将来のあらゆる相場に対して最適なパラメータであることや、必ず利益を上げ続けられること等を保証するものではありません)。
4.「HISUI」の2回目のエントリーについて
前回の記事にも記載しましたが、「HISUI」は最大でポジションを2つ持ちます。
しかし、上記の負けパターンではいずれも1つしかポジションを保有していませんでした。
これも「HISUI」の特徴の一つで、「HISUI」の2ポジション目は想定と逆行した際にナンピン目的でエントリーするものではないのです。
「HISUI」は、計算上レンジ相場内と判断でき、かつ1ポジション目よりも有利なポイントでエントリーできる場合にのみ2回目のエントリーをします(※ほとんどのケースでは、ロングの場合のエントリー価格は「1ポジション目 > 2ポジション目」、ショートの場合のエントリー価格は「1ポジション目 < 2ポジション目」となりますが、相場の状況やスリッページ等の影響で逆になるケースも存在します)。
そのため、1ポジション目を持った後、2ポジション目のエントリー前にトレンド相場になってしまったケース等においては、2ポジション目を持ちません。
ただし、レンジ相場が続いて2ポジション目を持った後に、想定と逆方向に動いてしまい、2ポジションとも損切りになるケースも理論上は当然存在しますが、幸いなことに、2025年1月にリアル運用を開始してから、本記事を記載するまでにそのようなケースはまだ発生していません。
5.おわりに
今回は、「HISUI」のリアル運用における負けパターンを2つ紹介・解説しました。
このような負けが続いた場合、「本当にこのままEAを稼働し続けて大丈夫か」、「パラメータ設定を修正した方が良いのではないか」などと不安になることがあると思います。
ということで、次回は、少し趣向を変えて、EAのリアル運用において負けが続いたときの考え方・メンタルの保ち方などについての記事を書く予定です。(→書きました)
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