DAY 20:複数ポジションの管理 – ポートフォリオ思考
FX
DAY 19では通貨ペアごとの特徴を把握する大切さを学びました。
そこで、**「複数の通貨ペアを同時に持つ場合、どうリスクを管理すればいい?」という疑問が浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
今日のテーマは、複数ポジションを同時に保有する際の考え方、いわゆる“ポートフォリオ思考”**です。
投資において分散は大切なキーワードですが、FXの場合は「相関関係」など特有のポイントもあり、一筋縄ではいきません。
複数ポジションによる利点・欠点を整理し、適切なリスクコントロールを考えていきましょう。
1. なぜ複数ポジション管理が必要なのか?
リスク分散
- 1つの通貨ペアに資金を集中させると、そのペアが逆行した際の損失が大きくなりやすい。
- 複数の通貨ペアを組み合わせることで、通貨が動く方向のばらつきによる“損失軽減”が期待できる。
チャンスを広げる
- ある通貨ペアがレンジ状態でなかなか稼げなくても、別のペアがトレンドを作っている可能性。
- 複数ペアをモニターすることで、収益チャンスを逃しにくい。
安定的な収益の獲得
- ボラティリティの大きな通貨ペアと安定しやすいペアを組み合わせるなどして、全体として無理のない成長を目指すイメージ。
- 短期的に大きく稼ぐより、安定を重視したいトレーダーには有効な選択肢。
2. 相関関係の把握は必須
(1) ポジションが同じ方向になっていないか?
- たとえば「USD/JPYで買い」「EUR/JPYで買い」など。
- どちらも“円を売る”という方向でポジションを持っているため、円高に振れた場合は両方ダメージを受ける。
- 「EUR/USDで買い」「GBP/USDで買い」も、いずれも“ドル売り”なのでドルが急上昇すると両方逆行する。
(2) 正の相関が高い通貨ペアを重ねるリスク
- 通貨ペア同士が正の相関が強いほど似た動きをする。
- 例:EUR/USDとGBP/USD、あるいはAUD/USDとNZD/USDなど。
- 同時に買いエントリーすると、方向が合えば一気に利益拡大も期待できる反面、逆行すると損失も倍増。
(3) 負の相関でヘッジする考え方
- 相関が逆に動きやすいペアを組み合わせると、損失をある程度相殺する場合も。
- 例:USD/JPYと金など(必ずしも負の相関ではなく、そうなりやすい傾向がある程度)。
- 完全にリスクをゼロにはできないが、ある程度のヘッジ効果が得られるケースも。
3. 同時ポジション数と資金管理
(1) 1ポジションあたりのリスクをどう設定する?
- 1つのポジションで「口座資金の2%」をリスクにするルールの場合、複数ポジションなら合計リスクが2%を超えないように調整する必要あり。
- 例:2ポジションを持つなら、それぞれ1%ずつなど。
- 例:2ポジションを持つなら、それぞれ1%ずつなど。
(2) 同じ通貨を含むポジション数に注意
- 例:USD/JPYを買い、EUR/USDを売り、GBP/USDを買い…と並行して持つと、ドルへの依存度が高くなる場合がある。
- これらのポジションの合計リスクをチェックし、ドルが予想外に動いたときの影響をシミュレーションしておく。
- これらのポジションの合計リスクをチェックし、ドルが予想外に動いたときの影響をシミュレーションしておく。
(3) ロット調整の考え方
- ボラティリティが高い通貨ペアは、ロットを少なめにしてリスクを抑える。
- 安定的なペアにはやや大きめのロットを当てるなど、通貨ペアごとに調整するとリスクバランスが取りやすい。
4. ポジション数を増やすメリット&デメリット
メリット
- チャンス拡大
- トレンドが出ている複数ペアで利益を狙える可能性。
- 分散効果によるリスク軽減
- 1ペアの損失をほかで補うシナリオが立てやすい。
- 損切り後もチャンス継続
- あるペアで損切りしても、別のペアがまだ好調ならトータルでプラスを維持できる。
- あるペアで損切りしても、別のペアがまだ好調ならトータルでプラスを維持できる。
デメリット
- 管理が複雑化
- 複数の通貨ペアを同時に監視・分析し続けるのは手間がかかる。
- 損切りや利確のラインを混同しやすくなる。
- 相関リスクによる想定外の大損
- 誤って同じ方向のポジションばかり積んでしまうと、相場逆行時にダメージ増大。
- 精神的負担が増える
- 2~3ポジションならともかく、5~10ポジション以上保有すると対応が追いつかないことも。
- 2~3ポジションならともかく、5~10ポジション以上保有すると対応が追いつかないことも。
5. 実例:ポートフォリオ的な考え方
(1) 例1:メジャー通貨を分散保有
- 狙い:米ドルとユーロ、ポンド、豪ドルなどバラバラの経済圏の通貨を組み合わせる。
- 例:USD/JPY、EUR/USD、AUD/JPYなど
- メリット:いずれかが予想外の突発ニュースに見舞われても、ほかがカバーする可能性。
- 注意:クロス円が多いと円への依存度が高くなるので、最終的には円安 or 円高の影響を強く受ける。
(2) 例2:高ボラ+安定ペアのハイブリッド
- 狙い:ハイリスクハイリターンの通貨(GBP/JPYなど)と、比較的安定した通貨(USD/JPYなど)を同時運用。
- 例:GBP/JPYを少ロット+USD/JPYを適度なロット
- メリット:大きな値幅を狙える一方、安定ペアで安定収益を補完。
- 注意:GBP/JPYとUSD/JPYはどちらも円が絡むため、円高・円安のトレンド時に影響が増幅されるリスク。
(3) 例3:EA(自動売買)でマルチ通貨運用
- 狙い:EAを複数稼働させ、通貨ペアや手法を分散。
- メリット:全自動で複数戦略を同時並行、裁量では追いきれない数を運用できる。
- 注意:相関やリスク管理のパラメータ設定が複雑になりがち。ひとつのEAが暴走して大損するリスクを他のEAがカバーできるとは限らない。
6. まとめ & 次回予告
まとめ
- 複数ポジションを持つ最大の目的は“リスク分散”と“チャンス拡大”
- ただし、相関を無視したままポジションを増やすと、逆にリスクが高まる結果になりがち。
- ただし、相関を無視したままポジションを増やすと、逆にリスクが高まる結果になりがち。
- 相関関係の把握
- 正の相関ペアを同方向で持つ場合、ロットを調整したり合計リスクを小さくする工夫が必要。
- 逆の方向で持つときはヘッジ効果を期待できる半面、利幅も薄まるケースがある。
- 資金管理と組み合わせて考える
- 1ポジションのリスクを2%に抑えても、3ポジション持てば6%のリスクになるので要注意。
- 通貨ペアごとのボラティリティも考慮し、ロットを調整する。
- 管理の手間・精神的負担を見越す
- あまり多くのポジションを同時に持つと混乱しやすい。最初は2~3通貨ペアの組み合わせ程度から始めるのがおすすめ。
- あまり多くのポジションを同時に持つと混乱しやすい。最初は2~3通貨ペアの組み合わせ程度から始めるのがおすすめ。
次回(DAY 21)のテーマ:戦略構築のまとめ & 質疑応答
- DAY 15~20までの「相場環境認識」や「エントリー・エグジット戦略」、「複数ポジション管理」などを総合的に振り返り、あなた独自のトレード戦略をどう組み立てるかをまとめます。
- 一週間の疑問点や質問への回答も交えながら、ステップアップのヒントを提供しますので、お楽しみに!
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