【第4話】突破口とゾーン
【第4話】突破口とゾーン
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心の奥に残ったわずかな希望を頼りに、もう一度自分のトレードを見つめ直していた。
これまで何度も失敗を繰り返してきた。
ルールを作っても感情に負けてしまい、欲や恐怖に流されては崩れていく。
ならば、そもそも 「迷わずに済む仕組みそのもの」 を作れないだろうか。
そう考え始めたのが、次のきっかけだった。
書籍を読み、ネットの記事を調べ、成功者たちの言葉を何度も読み返した。
それらを追いかける中で、あるキーワードが浮かび上がってきた。
──「ゾーン」
最初に目に入ったのは、いわゆる心理的ゾーンの話だった。
勝っても負けても心が動かず、流れに自然に乗っていく心の境地。
多くの成功者がその状態を目指していることを知った。
だが、これまでの経験から思った。
「精神論ではなく、もっと仕組みで迷わなくする方法が必要なのではないか」
そして辿り着いたのが、天空の狭間のゾーン理論だった。
ここでいう「ゾーン」は心理状態の話ではない。
トレード中の利確と成長段階を事前に分けておく、実践的な利益成長ゾーンのことだった。
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ゾーンは大きく3つに分かれている。
• 浮遊ゾーン:安全重視で早めに利益を確保する基準ゾーン。
• 空中ゾーン:利益を少し伸ばしながら、リスクも抑える成長ゾーン。
• 天空ゾーン:相場が伸びたときだけ最大まで利を伸ばしていく高みのゾーン。
取引を始める前に、今日はどのゾーンで狙うのかを決める。
これさえ決まれば、エントリー後は一切の迷いが消えていく。
あとはゾーン通りに利確・ストップ移動を淡々と行うだけになる。
この「事前ゾーン決定」という仕組みが、これまで僕を苦しめてきた途中での迷い・葛藤・感情の暴走を見事に消し去ってくれた。
• 浮遊ゾーンなら、今日の相場は慎重に早めの利確を選ぶ。
• 空中ゾーンなら、適度に利益を伸ばしながら安定を取る。
• 天空ゾーンなら、流れが強い日は最大限に伸ばしていく。
事前にこれを決めてしまえば、エントリー後は感情を挟む余地が残らなくなる。
例えるなら、登山ルートを決めてから出発する感覚に近い。
途中で天気を気にしてルート変更を迷う必要もなくなる。
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もう一つ、僕の中で大きな転機となったのが「時間軸」の見直しだった。
長い時間ポジションを持つから、不安も迷いも生まれる。
ならば最初から、短時間足で完結する仕組みにすればいいのではないかと考え始めた。
1分足。
わずかな動きの中で小さく取り、短く終わらせる取引。
失敗してもすぐ次の機会がくる。
勝っても負けても、深く引きずらず、次の瞬間へと集中できる環境が自然にできあがる。
ルールも徹底的にシンプルにした。
• 突破の瞬間にだけエントリー。
• ゾーンで事前に決めた利確ポイントに到達したら迷わず決済。
• 損切りは感情を入れず、事前に決めた条件で即時実行。
最初の取引は、わずか2pipsの利益だった。
これまでの自分なら「もう少し伸ばせたかも」と欲が出ていたはずだったが、今は違った。
小さな利益でも淡々と確定し、すぐに次の準備に入れるリズムが心地よかった。
取ってはやめ、取ってはやめを繰り返す中で、心の中の雑音がどんどん消えていった。
目の前のローソク足の動きだけに集中し、未来を予測しようとする思考が自然に薄れていった。
もちろん、負けることもある。
だが、引きずらずに次へ進める。
淡々と繰り返していくと、少しずつプラスが積み重なっていく。
利益の大きさではなく、迷わず処理できることそのものが、今までにない充実感を生み出していた。
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こうして、僕はようやく自分なりの突破口を掴みはじめた。
「天空の狭間」という考え方は、これからの自分の中心軸となっていくことになる。
第5話へ続く
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天空の狭間
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