DAY 23:EA作成過程の理解―ロジック設計のイメージを掴むのコピー
前回(DAY 22)は、EAを運用する際のリスク管理ルールについて、具体的な例を挙げながら解説しました。
本日は少し視点を変え、EAがどのように作られるのかを概念的に理解してみましょう。
自分でプログラミングしなくても、ロジック設計の流れをざっくり把握しておくと、EAを使う際の納得感やアレンジの仕方が変わってきます。
EAの作成過程を大まかに捉える
EA(Expert Advisor)は、主にMT4/MT5用のMQL言語で書かれたプログラムです。
トレード経験がなくてもコードを書ける人は作れる面もありますが、やはり本質的には「トレードロジック」を明確化し、それをプログラムに落とし込む作業が肝心となります。
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アイデアの発案
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「移動平均線がクロスしたときに売買したい」「ボリンジャーバンドをブレイクしたときにエントリーしたい」など、裁量トレードや過去の検証で得たアイデアを元にします。
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ここで重要なのは、明確な条件と再現性があるかどうか。曖昧な裁量判断をそのままコード化するのは難しいため、ロジックを言葉にし、数値条件へ落とし込みます。
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プログラミングによるロジック化
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MQL4/MQL5で、アイデアをプログラムとして記述していきます。
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「どのインジケーターを、どの時間軸で、どんな条件が揃ったらエントリーするか」「損切りや利確のタイミングはどうするか」など、すべての条件を定義していくのがポイントです。
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バックテストで基本動作を確認
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完成したEAをMT4/MT5のストラテジーテスターで動かし、過去データを使ってロジックが想定通りに働いているか確認します。
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思わぬ挙動をしていないか(例えば、損切りが動かない、エントリー条件が誤動作しているなど)をチェックし、必要に応じて修正・再テストを繰り返します。
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フォワードテストや小額リアル運用で最終検証
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バックテストが良好でも実際の相場ではスリッページや通信遅延が発生し得ます。
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デモ口座や少額リアル口座でEAを一定期間運用してみることで、実運用時の課題(急変時の対応など)を洗い出し、さらに微調整を行います。
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ロジック設計の具体的視点
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エントリー条件
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テクニカル指標(移動平均、MACD、RSIなど)の値やクロス状況
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価格アクション(レジサポの突破、前日高値・安値のブレイクなど)
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時間フィルター(特定の時間帯のみ取引、指標前後を避ける など)
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損切り・利確の設計
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固定値(○pipsで損切り/利確)
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トレーリングストップ(含み益の上昇に合わせて損切りラインを移動)
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時間カット(一定時間保有しても目標に達しなければクローズ など)
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資金管理・ロットサイズ
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固定ロットか、口座残高に応じて自動ロットを変化させるか
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連敗時にロットを下げる、または勝率が高い時期にロットを上げるなどの可変設定も考えられます(ただしリスクが増える面も)。
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エラー対応や再起動時の振る舞い
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EAが停止・再起動したときに既存ポジションをどう管理するか
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サーバーエラーや約定拒否が起きた場合の処理
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作成過程を理解するメリット
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EAの強み・弱みを理解しやすい
自分でコードを書かなくても、どのようなタイミングでエントリーし、どのように損切りを行うかを概念的に把握しておけば、相場急変時のリスクや苦手な相場環境などを想定しやすくなります。 -
設定変更やアップデートの意図をつかめる
EA販売者や開発者が行うバージョンアップ内容を理解しやすくなり、「なぜこう変更するのか」「どの部分が改善されたのか」を的確に把握できるようになるでしょう。 -
裁量の経験をロジック化しやすい
裁量トレードで「こういう場面でエントリーして勝ちやすい」という感覚を言語化し、数値条件に落とす思考を身につけると、自分のトレードをシステム的に見直すいいきっかけにもなります。
EA開発でよくあるポイントと注意点
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オーバーフィッティングに注意
過去の相場データに合いすぎると、将来の相場では通用しない恐れが大きくなります。バックテストだけでなく、フォワードテストや異なる期間のデータ検証でロジックが汎用的かを確認しましょう。 -
ロジックが複雑すぎると挙動が安定しない
多数のインジケーターや条件を詰め込みすぎると、プログラムが複雑化し、メンテナンスやバグ修正が困難になるケースもあります。シンプルな方がバグや想定外の挙動は起きにくいという考え方も一理あります。 -
開発言語のバージョン差
MQL4(MT4用)とMQL5(MT5用)ではコードの書き方や構造が異なる部分があります。EAを買う際、どの環境で動作するかもよく確認しましょう。
今日のまとめと次回予告
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EAは**「ロジックの言語化 → プログラミング → テスト → 修正」**のプロセスで作り上げられる
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作成過程をざっくりでも知っておくと、EAの設定変更やバージョンアップ時に**「なぜこうなっているのか」**を理解しやすくなる
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開発者や販売者がどのような流れでEAを作ったか聞いたり、概念的に把握したりすることで、自分の裁量経験を活かした改変のアイデアも湧きやすい
次回(DAY 24)は、**「EAがもたらす将来のトレード像―安心・安定、そして自由」**をテーマに、EAを活用することで得られるメリットを改めて振り返り、将来的にどんなライフスタイルや目標が実現できるのかをイメージしてみます。EA導入はあくまで手段ですが、正しく使えばトレードの可能性が大きく広がるかもしれません。
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EAがどんな仕組みで動いているか概念的に理解すると、売買ロジックの説明を読んだときに「なるほど、そういう狙いか」と納得感が増えるはずです。
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EAの作成過程を意識すれば、運用中に疑問が出ても納得感をもって改善点を探せるでしょう。
次の記事では、EAを取り入れた未来のトレードスタイルについて考えていきます。
ぜひ**「続きを読む」**を押して、引き続き学んでいきましょう。
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