[インジケータ・統計] その確率,本当に合っている?
こんにちは.2payです.
今回も小話シリーズやっていきます.
読者の皆さんはボリンジャーバンドを使用しているでしょうか?
価格の過熱感をダイレクトに知ることができ,併せてボラティリティの拡大縮小も判断できる便利な指標だと思います.
そんなBBの確率にまつわるお話です.
BBについて調べたり勉強する際に,各乖離σまでの到達確率について記載されているのを目にしたことがあると思います.
到達確率を気にして使用しているかは分かりませんが,実際BBを使ってみて,体感的に確率よりも多く価格が飛び出しているよう感じたことはないでしょうか?
その感覚は...実際正しいです.
BBは標準偏差に基づいて移動平均を軸に上下にバンド幅が引かれており,標準偏差は値が一定の範囲内に収まるとされる確率を求めたものになります.
具体的に,
・-1σ~1σに収まる確率:68.3%
・-2σ~2σに収まる確率:95.4%
・-3σ~3σに収まる確率:99.7%
と,算出されます.
この場合,±3σは1000本に3本の確率で飛び越える計算になります.しかし実際のチャートを振り返ってみると,±3σはもっと頻繁に触れていることが確認できると思います.
せっかくなので,カウントしてみましょう.
サンプルデータは約10万本,-1σ~1σに収まる本数,-2σ~2σに収まる本数,-3σ~3σに収まる本数をそれぞれカウントして,サンプリング本数で割って確率を出します.
BB期間は20日,ベースMAは単純移動平均,適用価格は終値です.
それに対し,各バンドの内側に終値が収まる本数をカウントします.
以下が検証結果です.(上位足は10万本用意できませんでした)
なるべく無作為になるように,為替,日経,BTC,GOLDの4種類の銘柄と,下位足から上位足まで幅広く取得してみました.
先ほどの標準偏差と比較して違いを見つけられたでしょうか?
まず圧倒的に違うのが±1σですね.
集計方法を間違えたのではないかと自分でも心配になるほど理論値と実測値が乖離しています.
もはや±1σの中に納まっている方が珍しいくらいです.
±2σも誤差とは言えない程度には乖離しています.
支持抵抗帯として用いられることも多い±2σですが,10本に1本以上とび抜けている計算です.
しかもこれは終値で抜けた本数の集計なので,高値安値で一時的にでも抜ける確率はそれ以上になります.
余程吟味しないと反発根拠として使用するには信頼性が足りませんね.
±3σの感想も似たようなものなので省きます.
理論上1000本に3本抜けるはずだったものが,100本に1本程度の確率になったと捉えればこれも只事ではないですよね.
追加でBBの期間を変えた場合の検証もしましたが,同じような結果に落ち着きました.
他に試せる変数が思いつきませんが,おそらく何をやっても同じような結果がでるものと思われます.
こういう結果を知ってしまうとバンドの数値が何を意味するのか分からなくなってきませんか?
BBとは?標準偏差とは?これをチャート分析に用いる方法は?それによって得られる効果は?
説明できる方いらっしゃればご教示ください.どうすれば上手に使えるのでしょうか.
取り乱しましたが,私は少なくとも理論値と実測値が乖離する理由は答えられます.
それはバンドの基準価格にMAを使用しているからです.
バンドが示す値は,基準価格からの乖離を想定したものになります.
値動きはMAと比べれば常に上下にバタバタ動いているのでどうしても到達しやすくなってしまいます.
例えば,基準価格をMAから当足始値に変更することで,簡単には到達せず理論値に近い確率になるはずです.
以下は始値を基準に標準偏差を取ったBBです.
どうでしょうか?中心の緑線は終値です.ほとんどバンドの外に逸脱しません.
文字が小さいので一応読み上げます.
BB±1σ:80.13%
BB±2σ:95.78%
BB±3σ:99.13%
MAよりも理論値に近づいたのではないでしょうか?
完全一致と行かないのは,始値の適用でも理論値の取り方に乖離があるという事なのでしょう.
バンドから逆算したら真に偏差の中心となる価格が求められるかもしれません.
(面倒なのでやりませんが.)
今回の話は以上になります.
BBに対する見方が変わったでしょうか?
一般的なBBを裁量の反発根拠に適用する際は,想定よりもブレイクする確率が高い事を頭の片隅にでも入れておいてください.
以前BBをブレイクアウトのトリガーに使用したEAを作りましたが,あれを磨いてより良いパフォーマンスを出すためには、今回の内容のように、理論と現実の乖離をある程度整合させなければなりません.
時間足や期間の最適化をしても無駄だということは先ほど証明した通りです.
それでスコアが変わるほどインジケータは易しくないです.
根本原因が何かを特定し,それに対する改善を行わない限り何しても効果が薄いです.
それはMAやその他のインジケータでも同じことが言えます.
今回検証で使用した,始値を基準価格とするBBを有料記事に張っておきます.
チャート左上の確率表示も残しますので,検証などにお役立てください.
今度機会があればMAに関しても触れたいと思います.
読んでいただきありがとうございました.
Is it OK?