DAY 32:検証で見るべき指標 – 勝率だけじゃダメ
FX
DAY 31ではフォワードテストの重要性と具体的な進め方を学びました。
DAY 32となる今日は、検証結果を評価する際にチェックすべき指標に焦点を当てます。初心者の方がやりがちなミスの1つに、“勝率ばかり意識してしまう”というものがあります。
しかし、勝率が高いだけでは必ずしも勝ち続けられるわけではありません。ほかにも重要な評価項目があるため、総合的にロジックや手法の善し悪しを判断する方法を学んでいきましょう。
1. なぜ「勝率だけ」では危険なのか?
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リスクリワード比が悪いと負けやすい
- 例:勝率90%でも、1回の負けが**-10万円**、勝ちが**+1万円**ならトータルで赤字になりやすい。
- 統計上、勝率だけ高くても、大損を許容してしまうロジックだと破綻のリスクが大きい。
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ドローダウン(連敗時の資金減少)を把握できない
- 高勝率=「連敗が少ない」とは限らない。
- 勝率85%でも、たまに連敗が来て資金の多くを失う可能性がある(マーチンゲール系EAなどは典型)。
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相場環境で左右される
- 勝率が高いロジックが「トレンド相場」でだけ有効だった場合、レンジ相場では全く機能しないかもしれない。
- 勝率だけでは、「いつ、どんな環境でこの勝率が出ているのか」が見えにくい。
2. 勝率以外に注目したい指標
(1) ドローダウン(Drawdown)
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定義:
- 口座残高がピークからどの程度下がったかを示す値。
- 例:最大ドローダウン 30% → 資金が一時的に30%減少したことがある。
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重要性:
- ドローダウンが大きいと、メンタル的に耐えられない場合が多い。
- 資金が半分以下になると、そこから挽回するには大きなリターンが必要。
- いくら最終的にプラスでも、一時期の急激な減少が破綻リスクを高める。
(2) PF(プロフィットファクター)
- 定義:
- 「総利益 ÷ 総損失」で計算される。
- 例:総利益が100万円で総損失が50万円ならPFは2.0。
- 目安:
- PF > 1.0で一応プラス収支。
- 1.3~1.5を超えると比較的安定している印象。
- 2.0以上あれば、相当優秀なロジックと言えるが、サンプル数にも注意。
(3) 連敗回数 & 勝率 × リスクリワード比
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連敗回数:
- 例:最大連敗が8回なら、その程度のドローダウンは来ることを覚悟する。
- 裁量の場合、「自分は8連敗に耐えられるか?」を考え、ロットを調整できる。
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勝率 × リスクリワード比:
- 期待値 = 勝率 × 平均勝ち金額 – (1 – 勝率) × 平均負け金額
- 勝率50%でも、平均勝ちが平均負けの2倍なら長期的にプラス。
- 逆に勝率80%でも、負けるときの損失が大きければマイナスになる。
(4) 平均利益率(平均損益率)
- 定義:
- 1トレードあたりの平均獲得pipsや平均損益金額。
- 大きな損切りをしていないか、コツコツ利確すぎて利益伸びていないのではないか等の傾向が見える。
**3. 「勝率が低くても勝てる」例:トレンドフォロー型】
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例:
- 勝率30%だが、1勝あたり平均+100pips、1敗あたり-30pipsという場合。
- 期待値: 0.3 × 100 – 0.7 × 30 = 30 – 21 = +9pips
- トータルではプラス。大きく勝てるトレンド相場をものにできれば連敗をカバーする。
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メリット:
- 連敗が続いても「大きなトレンドを捉えたら一気にプラス転換できる」という強み。
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デメリット:
- 連敗が増える期間、メンタルがきつい。
- 相場がレンジ続きだと連勝しづらい。
**4. 「勝率が高くても負ける」例:マーチンゲール型】
- 例:
- 勝率90%で、コツコツ小さな利益を積み上げるが、1回の負けで大量の損失を抱える。
- 借金or証拠金の大幅減少に繋がるケース多数。
- 特徴:
- 通常時は勝ちが続くため魅力的に見えるが、過去検証では“ブラックスワン”級の相場には対応できない危険性。
- メンタル負荷:
- 大負けが発生するタイミングが読めないため、不安定になりやすい。
5. どう評価すればいい? 総合的なチェックリスト
- 勝率:目安として参考。ただし単体で判断しない。
- リスクリワード比:1:1以上が最低ライン。1:2など高いほうが期待値が上がりやすい。
- ドローダウン:自分が耐えられる下落率かどうか。
- PF(プロフィットファクター):1以上が前提、1.3~1.5以上なら安定感がありやすい。
- 連敗回数:メンタル的に許容できるか? 連敗期間がどれくらい続くか想定。
- 平均損益率:負け1回でどのくらい勝ち分を吐き出すかの指標にもなる。
- 相場環境別の成績(トレンド時、レンジ時など):苦手な相場を把握し、ON/OFFやロット調整を検討。
6. まとめ & 次回予告
まとめ
- “勝率が高い=必ず勝てる”ではなく、リスクリワードやドローダウンなど複数の指標を総合的に確認することが重要。
- プロフィットファクター(PF)、連敗回数、平均損益率などを組み合わせると、ロジックや手法の長所・短所がクリアになる。
- トレード手法の評価:勝率70%でもドローダウンが大きいと危険だったり、勝率30%でもリスクリワードが高ければ安定するケースがある。
- リアル運用では、この評価軸を常にモニターし、相場環境の変化に合わせた修正やロット調整を実践する。
次回(DAY 33)のテーマ:検証結果をふまえたルール修正の仕方
- 明日は、**“複数の検証指標をもとにルール修正する際の注意点”**を取り上げます。
- ドローダウンを減らそうとしてインジケーターを増やしすぎると、“最適化の罠”に陥るリスクもあります。
- そこを上手く回避しながら、少しずつ“勝率&リスクリワードを改善する”テクニックを紹介していきますので、お楽しみに!
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