為替相場の気まぐれな動きとランダムウォークの不思議
気まぐれな相場の動き
「上がると思ったら下がる。下がると思ったら上がる。」
為替相場を見ていると、こんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか?予測した方向とは逆に動いてしまう。こうした相場の気まぐれな動きに、驚いたり悩んだりしたことはありませんか?
実際、次の動きが「上がるか」「下がるか」は、結果が出るまで誰にもわかりません。そして、結果が出て初めて「あの時の予測が正しかったか、間違っていたか」が分かる──これが相場の「不確定性」です。
ランダムウォークとは?
このような相場の不確定性を表現する概念の1つが「ランダムウォーク」です。ランダムウォークとは、次の一歩が完全にランダムで、予測不可能な動きのことを指します。
ランダムウォークの例
- 各ステップで「右に進む」か「左に進む」かが、それぞれ50%の確率で決まります。
- 次のステップがどちらになるかは完全にランダムで、どちらかが起こることは分かっていても、予測することは不可能です。
自然界でのランダムウォーク
自然界でも、このようなランダムな動きは多く見られます。例えば:
水面に浮かぶ花びら
水面の風や波の影響で、花びらが右へ左へと不規則に漂う動き。ブラウン運動
微小な粒子が液体や気体の中で周囲の分子と衝突しながらランダムに動き回る現象。
これらの動きには規則性がなく、次にどの方向に進むかを予測することは困難です。
金融市場におけるランダムウォーク
では、このランダムウォークが為替相場にも当てはまるのでしょうか?
もし為替相場が完全なランダムウォークであれば、次の動きを予測することは理論的に不可能です。しかし、実際にはトレーダーがテクニカル分析やファンダメンタルズ分析を用いて、未来の動きを予測しようとしていますよね。
実際に相場がランダムウォークなのか、それとも何らかの規則性があるのかを見極めるのは非常に重要です。
シュレディンガーの猫と相場の類似性
ここで、物理学の有名な思考実験「シュレディンガーの猫」を思い出してみましょう。
シュレディンガーの猫とは?
- 箱の中に猫がいて、同時に「生きている状態」と「死んでいる状態」が存在するとされます。
- 観測者が箱を開けて確認するまでは、猫の生死が確定しないという量子力学の奇妙な性質を示す実験です。
この思考実験は、量子力学における「観測によって結果が確定する」という不確定性の議論に使われます。ただ、シュレディンガー自身は「こんな曖昧な状態は現実には存在しない」という点を強調するためにこの例を挙げました。つまり、この理論は量子力学の不安定性に対する批判として提案されたのです。
相場との繋がり
為替相場でも、「次に動く方向は未定だが、動いた結果として確定する」という点でシュレディンガーの猫に似た不確定性があります。
- ランダムウォークの価格:次のステップが「上がる」か「下がる」かは分からず、50%の確率でどちらかが起こります。
- 観測結果としての価格:実際に価格が動いた後で、「上がった」または「下がった」という結果が初めて確定します。
ただし、シュレディンガーが強調したように、相場も完全にランダムなわけではありません。つまり、動きにある程度の規則性やトレンドが隠れている可能性があります。この点が、相場を分析する上で重要なポイントです。
次回予告
次回は、この「ランダムウォーク」の概念を相場でどう活用できるかを探ります。特に、「ランダムな動きを推進力に変える仕組み」である「ラチェットの仕組み」を中心に解説し、不規則な相場で利益を生む方法を考えていきます。
相場の気まぐれな動きの中で、どのように一方向の利益を生み出すことができるのか、一緒に探っていきましょう!
Is it OK?