条件を増やせばEAは強くなる、は間違いだった──境界の開発で、足して消えたもの
EURUSD向けEA「境界 - KYOKAI -」が完成するまでに、何を試し、何がダメで、何を残したか。記録に残っている数字だけで、その検証の過程を書いています。
» EA「境界 - KYOKAI -」の商品ページはこちら
条件を足すたびに、EAは賢くなる。そう信じて足していった結果、足した条件の多くは最後まで残りませんでした。
Touchしただけでは、優位性が足りなかった
前回、水平線は「戻ってきた時のFirst Touch」の方が反応しやすいことが分かりました。ただ、それは動きを測った診断値です。実際に売買させるには、「どんな相場なら、逆張りが通りやすいか」を絞る必要がありました。
そこで、M15のFirst Touch逆張りに、思いつく条件を片っ端から足して試しました。ボリンジャーバンド(BB)、ADX、RSI、ストキャスティクス、H1のパーフェクトオーダー(H1 PO)など。条件を一つずつ変えながら、どれが本当に役立つのかを確かめていた頃です。
残ったのはBBとADX。RSIとストキャスは消えた
| 試した条件 | 結果 |
|---|---|
| ボリンジャーバンド(BB) | 残った |
| ADX | 残った |
| RSI | 脱落 |
| ストキャスティクス | 脱落 |
| H1パーフェクトオーダー | 効果なし(次の章) |
逆張りなので、狙いは「価格が行き過ぎていて、かつトレンドが強すぎない場面」です。BBはその行き過ぎを、ADXはトレンドの強さを測っています。この2つだけが、最後まで残りました。
数字はこうでした。5通貨・4,835件を母集団にした検証結果です。
| 条件 | 件数 | 勝率 | PF | 平均 |
|---|---|---|---|---|
| BB2.7σ以上+ADX20以下 |
574件 | 54.4% | 1.19 | +6.53p |
| BB2.9σ以上+ADX22.5以下 |
633件 | 32.81% | 1.22 | +9.95p |
この「BB2.9・ADX22.5」が、今の境界にもそのまま残っています。
もう一つ、見てほしい点があります。勝率は54.4%から32.81%まで下がりましたが、PFは1.19から1.221へ上がりました。SLを狭く、TPを広くすれば、勝率は下がります。勝率だけを見ていたら、一番いい形を捨てていたかもしれません。
H1パーフェクトオーダーを足しても、ほとんど変わらなかった
上位足の流れに合わせるH1パーフェクトオーダー(H1 PO)も足してみました。BB2.9・ADX22.5・TP100/SL40の、PF1.221の条件に重ねています。
取引件数
| H1 POなし | 643決着 | |
| H1 POあり | 404件 |
PF(右端をPF1.6としたバー)
| H1 POなし | 1.221 | |
| H1 POあり | 1.227程度 |
※PFはほぼ同じです。バーの長さが、ほぼ同じに見えるのがその意味です。
PFは1.221から1.227程度。ほとんど変わりません。一方で、件数は600台から400件ほどに減りました。条件を足した分だけ、取引のチャンスが減っただけに見えます。
条件を増やせば強くなる、とは限りませんでした。
負けた年を直そうとして、良いトレードまで消した
実売買の検証で、もう一つ苦しんだのが年ごとの成績の差です。出口をH4 ATRに切り替えた段階での検証結果は、次のとおりでした。
- 2024年:-2,646円(PF0.94)
- 2025年:+34,666円(PF2.05)
- 2026年:+3,556円(PF1.17)
負けているのは2024年だけです。この年の負け方をH1・H4のトレンド別に分析して、考え方は単純でした。「H4の終値がEMA20より下なら、BUYは全面禁止にすればいい」。そこで、その条件を加えた設定でも検証してみました。
| 検証した設定 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 変更前(基準設定) | +4,540円 PF1.16 |
+32,751円 PF2.00 |
| BUY全面禁止 | +6,482円 PF1.25 |
+18,358円 PF1.56 |
| 特定のSELLのみ制限(採用) | +9,234円 | +36,949円 PF2.21 |
BUYを全面禁止した設定は、2024年こそ良くなりました。でも2025年は+32,751円から+18,358円へ、約4割減りました。利益になっていた押し目のBUYまで、大量に削ってしまったからです。悪い年を直そうとして、良い年を壊しました。
そこで全面禁止はやめて、R側(レジスタンス側)のSELLの特定の環境だけを、限定して制限することにしました。これが最終的に採用した設定です。2023〜2025年の3年すべてで、変更前の基準設定より改善しました(2023年は+5,395円から+6,745円)。境界には、この限定的な制限が残っています。
この数字だけでは判断できないこと
最終的に採用した設定も、過去のデータに合わせて調整した結果です。3年で改善したことは事実ですが、これから先も同じように働く保証はありません。条件を「限定して」足したのは、そのリスクを少しでも減らすためでした。
結局、何が残って、何が消えたか
|
残った ・BB 2.9σ ・ADX 22.5以下 ・H1/H4の特定の状態だけを除外する、限定的な上位足フィルター |
消えた ・RSI ・ストキャスティクス ・H1パーフェクトオーダー(効果なし) ・H4 EMA20割れでのBUY全面禁止 |
まとめ
- 足して残ったのは、BBとADXだけだった。RSIとストキャスは消えた
- H1 POを足してもPFはほぼ同じで、件数だけが減った
- 勝率が下がっても、PFが上がる形があった。勝率だけでは決められなかった
- 負けた年を直そうとして、BUYを全面禁止にしたら、良い年の利益まで減った
- 条件は「増やす」より、「限定して足す」ほうが残った
この検証の先にできたEA
境界 - KYOKAI -
水平線のFirst Touchを、逆張りで狙うEURUSD専用EA。
| 対象 | EURUSD専用・M15 |
| エントリー | 水平線(R1・R2・S1・S2)のFirst Touch逆張り |
| 絞り込み | ボリンジャーバンド・ADX・上位足フィルター |
| 決済 | H4 ATR連動のSLとトレーリング |
次回:TPを遠くすれば儲かると思ったら、PFが下がり続けた。固定pipsをやめて、ATRに行き着くまで。
※過去の検証結果であり、将来の成績を保証するものではありません。