暗号資産相場分析(10月13日)
暗号通貨
■ 本日(2026年10月13日)の主要暗号資産の値動きと要因、先週からの動向、BTC ETFフロー、目立ったアルトコインの動き
本日(2026年10月13日時点)における主要暗号資産(仮想通貨)の最新の値動きやその背景にある要因、先週からの全体的な市況トレンド、ビットコイン現物ETFの資金流入・流出(フロー)状況、ならびに著しい動きを見せた注目アルトコインの動向を詳しくまとめてお伝えします。なお、提示している各種価格水準は参照するデータソースによって若干の差異が生じる場合がありますが、概ね市場の平均的な取引水準を反映したものです。
■ 本日の値動きと主な要因
・ビットコイン(BTC)の動向
ビットコイン(BTC)の価格はおおむね83,000ドルから83,600ドル前後の水準で推移しています。本日の朝方にかけて一時80,850ドルから81,000ドル近辺まで急速に下落する場面が見られましたが、その後は強い買戻しが入って反発し、無事に83,000ドル台を回復しました。24時間比で見ると、ほぼ横ばいから微増減の範囲内にとどまっており、相場全体の中では比較的底堅い推移を見せています。
・イーサリアム(ETH)および主要アルトコインの動向
イーサリアム(ETH)は約2,490ドルから2,520ドル前後で取引されています。一時は2,400ドル付近まで押し込まれたのちに押し目買いが入って反発したものの、24時間比では約マイナス1.5パーセント前後となっており、ビットコインと比較するとやや軟調な展開となっています。
その他の主要アルトコイン全般においても弱含みの展開が目立っており、ソラナ(SOL)は約107ドルで24時間比マイナス3.5からマイナス4パーセント程度の下落、リップル(XRP)は約1.36ドルから1.37ドルで24時間比マイナス2からマイナス3パーセント程度の下落、バイナンスコイン(BNB)も約740ドル前後へ下落するなど、全体的に売りが先行する展開となりました。
アルトコインの下落に対してビットコインが相対的な堅牢さを示したことで、仮想通貨市場全体におけるビットコインの占有率を示すドミナンス(Dominance)が一時的に上昇する局面も見られました。
・相場を動かした主な要因
今回の価格下落と底打ち反発には、複数の複合的な要因が影響しています。
1つ目の要因として、伝統的な株式市場におけるリスクオフ姿勢の連動が挙げられます。韓国のKOSPI指数がAI関連産業に対する懸念の高まりを受けて5.5から7パーセント程度も急落しました。この背景には、ブロードコム(Broadcom)のCEOによる「現在のAI投資にはカジノのような投機的側面がある」という懸念発言や、中国のメモリチップ市場での競合激化によってサムスン電子やSKハイニックスといった大手半導体株が急落したことがあります。アジア株式市場全体に広がったこの急激なリスクオフ(リスク回避)のムードが暗号資産市場にも波及し、一時的な全面安を引き起こしました。
2つ目の要因として、過度なレバレッジポジションの清算が挙げられます。株式市場に連動した急落の過程において、デリバティブ市場では主にロングポジション(買い持ち)を中心に8億ドル(約1,200億円)を超える大規模なロスカット(強制清算)が発生し、これが下落に拍車をかけました。
3つ目の要因として、下落後のスポット(現物)買いと市場のイベント待ちが挙げられます。急落が一巡した後は割安感を捉えた現物買いが入り、価格は元の水準へ急速に回復しました。また、米国の主要銀行の決算発表や、明日10月14日に控える米国の重要経済指標であるCPI(消費者物価指数)の公表を直前に控え、投資家がポジションを調整する動きも影響しています。なお、市場の投資家心理を示す「Fear & Greed Index(恐怖と欲望指数)」は「57(Greed=強気・欲望)」を示しており、前日と比較するとやや警戒感が強まり数値が低下しています。
■ 先週からの価格動向と市場環境
先週(10月6日頃以降)の暗号資産市場は、価格の変動幅(ボラティリティ)が非常に大きい展開となりました。
ビットコイン(BTC)は週初に86,000ドルから87,000ドル付近まで上昇を試みたものの、上値の重さに直面して拒否され、木曜日頃には一時80,400ドル付近まで大きく押し戻されました。週末にかけては82,000ドルから83,000ドル台まで徐々に買い戻されたものの、週間を通したトータルでは約マイナス2.7からマイナス3.5パーセント程度の下落で取引を終える形となっています。
一方で、イーサリアム(ETH)をはじめとする主要なアルトコイン群は、ビットコイン以上に厳しい下落に見舞われました。イーサリアムは週間でマイナス7パーセント前後の調整を記録したほか、その他の銘柄でもそれ以上の大きな幅での価格調整が見られました。暗号資産市場全体として投資家がリスク回避を強める「リスクオフ」寄りの局面が続いており、ビットコインに対してアルトコインが相対的にパフォーマンスで劣る状況が継続しています。
■ ビットコイン現物ETFの資金フロー状況(直近約1週間)
Farside Investorsなどが公開している信頼性の高いデータに基づく、米国市場におけるビットコイン現物(スポット)ETFへの日次純流入・流出額(すべて百万ドル単位の概算値)は以下の通りです。
・10月5日:約 マイナス9,000万ドル(資金流出)
・10月6日:約 プラス1億1,900万ドル(資金流入)
・10月7日:約 マイナス4億8,500万ドル(大規模な資金流出)
・10月8日:約 マイナス2億4,400万ドル(資金流出)
・10月9日:約 プラス2,100万ドル(資金流入)
・10月12日:約 マイナス6,500万ドル(資金流出)
10月の月間累計フローを見ると、現時点で約マイナス4億5,000万ドル前後の純流出(売り越し)となっています。特に10月5日から9日の週においては、合計で約6億8,100万ドルもの資金がETFから流出する結果となり、それまで3週間にわたって続いていた連続資金流入(買い越し)の好調なトレンドが途切れる形となりました。
現物ETF開設以来の累計資金流入額としては依然として570億ドル(約8.5兆円)を超える非常に巨大な買越額を維持していますが、直近では売り傾向や流出が目立っており、これが現物価格の上昇スピードを鈍化させ、価格下支え効果を弱めている主要因の一つと考えられています。
■ 目立ったアルトコインの個別動向
・ジーキャッシュ(Zcash / ZEC)の動き
ジーキャッシュ(ZEC)は、24時間比でマイナス6からマイナス10パーセント前後という目立った下落を記録し、取引高も通常より高水準で推移しました。この下落の背景には、相場全体の上値の重さに加えてロングポジションの連続清算が重なったことや、過去のハッキング被害に関連する資金の追跡・プライバシー性能に関する議論が改めて浮上したことが指摘されています。また、ZECは以前の相場局面で力強い上昇を見せていた反動もあり、利確売りに押される形で調整が顕著となりました。ただし、今後の技術的進歩である「NU7(Network Upgrade 7)」アップグレードに対する期待感も根強く存在しており、材料の相殺と価格の振幅が続いています。
・ニアプロトコル(NEAR Protocol / NEAR)の動き
ニアプロトコル(NEAR)は、24時間比で10パーセントを超える急激な下落を記録する一方で、AI(人工知能)関連技術としての注目や現物ETF関連のニュースなどの好材料も存在し、週間単位ではプラス圏を維持しているとのレポートもあります。極めてボラティリティが高い状態となっており、短期的な売り圧力と中長期的な期待感が激しく錯綜しています。
・その他のアルトコインの動き
ハイパーリキッド(Hyperliquid / HYPE)やカルダノ(Cardano / ADA)といった主要銘柄も軒並み下落傾向となっており、市場全体としてアルトコインのパフォーマンスがビットコインを下回る厳しい展開が続いています。
■ 業界の最新トピックスおよびニュース解説
・Arkhamがジャスティン・サン氏のウォレットを特定
ブロックチェーン解析企業Arkham(アークハム)が、Tron創設者であるジャスティン・サン(Justin Sun)氏が所有・管理する暗号資産ウォレットを10種類の主要ブロックチェーンにわたって特定・追跡することに成功しました。その確認されたオンチェーン資産総額は約22億5,000万ドル(日本円で約3,300億円相当)に達します。Arkhamは2026年9月時点で同氏を「ビットコイン創設者サトシ・ナカモトに次ぐ、暗号資産の個人保有量世界第2位」と認定しました。ポートフォリオの内訳としては各種ステーブルコインのほか、イーサリアム(ETH)、ビットコイン(BTC)、World Liberty Financial(WLFI)、Structured Finance(STRX)、トロン(TRX)などが並んでいます。
・英国の暗号資産投資家が自宅で強盗被害に遭遇
英国において、個人の暗号資産投資家が自宅に押し入った強盗にナイフで脅され、約80万ドル(約1億2,000万円)相当の資産を強制的に奪われる痛ましい事件が発生しました。ハードウェアウォレットのLedgerから72万ドル相当の暗号資産が不正送金されたほか、保有していた高級時計のロレックスも同時に盗難に遭いました。先日もタイで同様の侵入強盗事件が発生したばかりであり、「自身が大量の暗号資産を保有していることを他人に軽易に口外したりSNS等でアピールしたりすることは極めて危険である」という防犯上の教訓を改めて提示しています。
・香港市場で2つ目となるソラナ現物ETF「$SOLETF」が10月13日に上場
香港証券取引所(HKEX)にて、ソラナの現物ETFである「Pando Solana ETF」が10月13日に正式に上場しました。香港でソラナ現物ETFが取り扱われるのはこれで2銘柄目となります。全世界におけるソラナ現物ETFの純資産総額(AUM)は19億ドルに達し、累計純流入額も16億1,000万ドルに到達するなど、機関投資家からのソラナに対する強い関心が示されています。
・10.5億円分のBTCを保有する投資家がLedger購入後に全資産を紛失するトラブル
保有する80 BTC(約10.5億円相当)のビットコインをすべて失ったという衝撃的な報告がなされ、大きな話題となっています。
この被害者は4ヶ月前に1BTCあたり約65,000ドルで80枚のBTC(購入総額520万ドル、その後の上昇による含み益2.2億円)を購入しました。しかし、1週間前に暗号資産の販売代理店であるCryptoBillisからハードウェアウォレットのLedgerを購入し、設定・移進を進めた直後に全額が消失しました。
Ledger社は、東南アジアのユーザーが正規代理店であったCryptoBillis(中国系企業によって買収され、その過程でデバイスへ不正な改変が加えられた疑いが持たれている)から製品を購入した際に資金紛失が発生した旨を受け、直ちに調査を開始しました。同社は予防措置および調査完了までの緊急対応として、CryptoBillisに対する全製品の販売および出荷の即時停止を要請しました。過去90日以内にこの代理店からLedgerデバイスを購入したユーザーに対しては、未セットアップであれば絶対に利用を開始しないよう注意喚起がなされています。
このような事例から、事態が落ち着くまでハードウェアウォレットの新規購入は慎重に行う必要があり、購入する際も第三者の代理店を経由せず、必ずメーカーの公式直販サイトから直接購入することが強く推奨されます。
・セキュリティとセルフカストディ(自己管理)における重要原則
新しいハードウェアウォレットの導入やソフトウェアウォレットのダウンロードを行った際は、重要な資産をすぐに全額移行させるのではなく、小額で試すとともに数週間そのまま保管状態にして様子を見ることが推奨されます。その待機期間中(およびそれ以降)に、対象製品やメーカーに関するハッキング被害や脆弱性のニュースが出ていないか念入りに確認することが重要です。ハードウェアであっても供給網(サプライチェーン)で改ざんされるリスクがあり、ソフトウェアの公式サイトであってもドメイン乗っ取り等で改ざんされるリスクが存在するためです。中央管理者を挟まないセルフカストディには、相応の高度な自己責任が伴います。
また、バイナンス(Binance)創業者であるCZ(チャンポン・ジャオ)氏が「仮想通貨セキュリティ入門」を公開し、以下の3つの柱を提言しています。
1つ目は「盗難防止」として、インターネットから完全に隔離されたオフラインPCや信頼できるハードウェアウォレットの使用を推奨すること。
2つ目は「紛失防止」として、シードフレーズ(復元コード)等をスクショ保存せず、物理的に分散した複数拠点へバックアップ保管すること。
3つ目は「相続対策」として、万が一の事態に備えて遺族が資金を復元できる明確な手順を事前に準備しておくことです。
なお、日本国内の環境においては、ハッキング補償や厳しい分別管理制度が整っている金融庁登録済みの国内暗号資産取引所に資産を預けておく方が、一般ユーザーにとって自身で管理するよりも結果として安全性が高まるという考え方もあります。
・JPモルガンがソラナ(SOL)を活用した新規決済システムを共同開発
米金融大手のJPモルガンが、ソラナ(Solana)ブロックチェーンを活用した新しい決済システムの共同開発を進めていることが明らかになりました。このシステムにより、伝統的な金融機関同士が数秒という超高速でオンチェーン上の資金決済を行えるようになります。伝統的金融(TradFi)の巨人がソラナの高速処理能力と低コスト性を評価して採用したことは、今後のブロックチェーン活用の方向性を示す非常に大きな意義を持ちます。
・サムスン電子がソラナ(Solana)と提携を発表
サムスン電子がソラナと提携し、米国で稼働する約8,200万台のサムスン製デバイスにおいて、「Samsung Wallet」からソラナ基盤のステーブルコイン決済を直接利用できるようにすることを発表しました。日常的な決済インフラとして暗号資産が大幅に普及する契機になると期待されています。
・イーロン・マスク氏によるSpaceXの将来価値に関する発言
イーロン・マスク氏が、宇宙開発企業SpaceX(スペースX)の将来価値について「現在の地球全体の経済規模と比較しても桁違いに大きくなるだろう」という壮大な予測を語りました。なお、同社に関連する市場指標(SPCX)は175ドルを突破し、推定時価総額は2兆3,800億ドル規模に達しています。
■ ビットコイン関連の個別ニュース
・MicroStrategyが250 BTCを追加購入
マイクロストラテジー(MicroStrategy)社が約86,194ドルの平均取得価格で、さらに250 BTCを追加購入したことを発表しました。これにより同社の総保有量は845,250 BTCとなり、累計投資額は約640億ドルに達しています。同時に、同社はSTRC株を1億9,240万ドル分買い戻すなど、積極的な財務戦略を実行しています。
・ラマスワミ氏率いる投資会社「Strive」が大規模なBTC買い増しを実施
元米大統領候補のビベック・ラマスワミ氏が率いる資産運用会社「Strive」が、3,311 BTC(約2億7,500万ドル相当)を購入したことが分かりました。伝統的金融の資産運用機関による大型の買い増し事例として注目を集めています。
・米政府による約17,733 BTCのCoinbase Primeへの送金
米国政府の関連ウォレットから約17,733 BTCが暗号資産取引所大手コインベースのカストディ部門「Coinbase Prime」へと移動されました。暗号資産分析機関K33の調査によると、この10月初旬の大量送金は政府による直接の市場「売却」目的ではなく、より安全な保管を目的とした「カストディ移管(保管場所の変更)」である可能性が高いと分析されています。なお、この移動により政府の直接保有量は324,527 BTCから306,795 BTCへ減少しています。
・アーサー・ヘイズ氏「強気相場は不安の壁を乗り越えて形成される」
BitMEX創業者アーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏が相場観を表明しました。過去を振り返ると、2017年はビットコインのブロックサイズ戦争、2020年はコロナショック、2023年はFTX崩壊と急激な利上げといった巨大な不安を乗り越えて強気相場が形成されてきました。2026年においては「AI×暗号資産」に関する懸念やFUD(不安・不確実性・懐疑)が市場の試練になると同氏は予測しています。その上で「法定通貨の過剰発行(紙幣増刷)の波は必ず訪れるため、最終的にインフレヘッジとしての実質資産価格は上昇する」と結論付けています。
・米国政府によるイラン制裁強化に伴う約10億ドル相当の暗号資産差し押さえ
米国政府がイランに対する経済制裁をさらに強化する一環として、約10億ドル相当の暗号資産を差し押さえる方針を示しました。先日のBitfinexハッキング事件に関連する10億ドル相当のBTC移動に続き、政府主導による大型の没収措置が相次いでいます。
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(本レポートは、2016年の配信開始以来、常に市場の最前線をお届けしています)