チャンスを24時間探すほど負ける ― 5年分を時間帯で刻んでわかった「打たない時間」
デモ取引を始めたばかりの頃、ぼくは「チャンスは1日中どこにでもある」と本気で思っていました。だから、朝でも昼でも夜でも、動いていそうな場面を見つけては、片っ端からエントリーしていました。デモの残高はジワジワ増えたり減ったりで、正直「まあまあ勝ててるかな」くらいの感覚でした。
ところがリアル(本番)と、プロップファームの口座で同じことをやったら、面白いように削られました。勝ったり負けたりしているのに、月末に残っているのはマイナス。あとで自分の取引を1つずつ棚卸ししてみて、ようやく理由が分かりました。ぼくは「打ってはいけない時間・打ってはいけない場面」で、無駄弾を撃ちまくっていたんです。
申し遅れました、lulu.fx と申します。GOLD(XAUUSD)を中心にトレードしている現役の裁量トレーダーで、自分でEAを組んでは検証する、ということを続けています。いまはプロップファームの (A社) に挑戦中です。
この「検証でわかる:FX初心者が勝てない理由」シリーズでは、大量のデータとデモ取引を突き合わせてわかった、初心者が勝てない本当の理由を1つずつ書いています。今回は第4回、テーマは「勝てる場面・時間帯を選ばない過剰トレード(オーバートレード)」です。
「たくさん打てば、たくさん勝てる」は幻想だった
まず、いちばん最初にはまった勘違いから書きます。デモを始めた頃のぼくは、「エントリー回数が多いほど、利益のチャンスも増える」と信じていました。1日に10回も15回もポジションを持って、「今日はよく働いたな」と満足していたんです。
でも、これは完全に逆でした。トレードには、勝ったときにプラスになる分だけでなく、1回打つたびに必ず出ていくコストがあります。スプレッド(買値と売値の差)と、スリッページ(狙った値段からズレて約定する幅)です。デモだとこのコストがほとんど効かないので気づかないんですが、リアルでは1回打つごとに「見えない税金」を払っているようなものなんです。
つまり、優位(エッジ)のない場面で回数だけ増やすと、勝ちも負けもだいたいトントンなのに、コストの分だけ確実に削られていく。デモでは残高が横ばいに見えていたものが、リアルではコストが乗った瞬間、右肩下がりに変わる。ぼくが「勝ったり負けたりしてるのに、なぜか減る」と感じた正体は、これでした。
検証でわかった「優位は、時間帯に偏っている」
ここからが、検証して腑に落ちた話です。ぼくは自分のGOLDの取引と、大量の過去データを、「何時にエントリーしたか」で分けて集計してみました。すると、はっきりした傾向が出たんです。
GOLDは、ロンドン時間からニューヨーク時間(日本時間でおおむね13時〜24時)にかけて、値動きが素直でした。トレンドが出れば素直に伸び、押し目(いったん戻して再び進む場面)も分かりやすい。一方で、日本時間の朝方(早朝〜午前)は、動きが薄くて方向感が乏しく、だましに引っかかりやすい時間帯でした。特定の曜日に逆張り(流れに逆らって入る)を仕掛けるパターンも、集計してみると分が悪かった。
これは、考えてみれば当たり前なんです。GOLDが大きく動くのは、ロンドンやニューヨークの市場参加者が本気で売買している時間。人が少なく、大きなお金が動いていない時間帯は、値動きに「意味」が乗りにくい。そういう場面で「なんとなく動いてるから」と打っても、それはただのノイズで、優位はどこにもない。
ここで大事なのは、「勝てる場面は、24時間のうちのほんの一部に固まっている」という事実です。優位は薄く広く散らばっているのではなく、濃く一部に偏っている。なのにデモでは、時間を気にせず全場面で無差別に打っていた。優位のある時間の利益を、優位のない時間のコスト負けで吐き出していたんです。
ここまでが、この記事の無料部分です。ここから先は、時間帯以外の「打たない条件」と、ぼくが実際に机の横に貼っている「打たないリスト」を公開します。回数を半分以下に減らしたのに、月末に残る数字がむしろ良くなった話です。
ここから先(続きを読む)で公開:
- 時間帯だけじゃない、「相場の状態」で優位が正反対になるという話
- なぜデモだと過剰トレードに気づけないのか(甘い検証が導く間違った結論)
- ぼくが机の横に貼っている「打たない時間・場面・タイミング」の3リスト
- 回数を半分以下にしたら成績がむしろ良くなった理由と、EAに入れている時間フィルタの話
- いちばん難しい「打たない勇気」を、根性ではなくデータで支える方法