なぜ、みんなインジケーターしか作らないのか
ゴゴジャンを見ていると、EA(自動売買)よりインジケーター(サイン表示ツール)の数の方が圧倒的に多いことに気づきます。これは偶然ではなく、構造的な理由があると思っています。今日は、両方を作って売っている開発者の立場から、その理由を正直に書きます。特定の誰かを批判したいわけではなく、こういう構造がある、という話です。
EAの審査は非常に細かいです。マジックナンバーの設定、自分のEAが建てたポジションかどうかの判定、発注前の証拠金チェック、決済失敗時のリトライ、端末再起動後の復帰、外部通信・DLL・難読化の禁止など、実際に資金を動かすプログラムだからこその安全基準が数多くあります。これを満たすには、相応の開発コストと時間がかかります。インジケーターは発注ロジックを持たないため、こうした基準の対象になりにくく、世に出すまでのハードルがずっと低いのです。
EAは実際に発注・決済まで行うので、損益がそのまま数字に出ます。バックテスト、フォワード、リアル口座――逃げ場がありません。
インジケーターは「サインを出すだけ」で、実際に発注するかどうかは使う人の判断です。サインどおりに取引して損をしても、「エントリーのタイミングが違った」「最終判断はご自身のものです」と言える余地が残ります。開発者側の責任の所在が、構造的にあいまいになりやすいのです。
※あくまで構造的な傾向の整理であり、すべてのインジケーターに当てはまるわけではありません。
これは他人事ではなく、私自身が最近まさに直面した問題です。金脈AIのパネルに表示する実績(勝率・PF・獲得pips)は、エントリー・決済とも「その足の中でもっとも有利な価格」を基準に計算する設計にしています。実際の約定価格を保証するものではなく、あくまで戦略の傾向を見ていただくための参考値です。
この計算基準を、実際の値に近づけるか、有利な方に寄せるかは、開発者の匙加減ひとつです。悪気がなくても「良く見える」計算を選びがちになるのは、人として自然なことだとも思います。だからこそ、パネルの実績を見るときは「これはどういう基準で計算されているのか」を一度確認する癖をつけることをおすすめします。
裁量トレードの判断材料として、本当に役立つインジケーターはたくさんあります。ただ、「なぜこの商品はEAではなくインジケーターなのか」という構造を知っておくと、商品を選ぶときの見え方が変わると思います。少なくとも私は、実際に資金を動かす部分(EA)は、言い訳のできない数字がそのまま出る前提で作るようにしています。
- EAの審査は安全基準が多く厳格。インジケーターは発注ロジックがない分ハードルが低い
- EAは損益が数字にそのまま出るが、インジケーターは発注判断が使う人次第で責任の所在があいまいになりやすい
- パネルの実績表示は計算基準の選び方で「良く見せる」ことができてしまう(自分自身の商品も例外ではない)
- インジケーターが悪いわけではないが、この構造を知っておくと商品選びの見え方が変わる
※本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。掲載している運用結果は過去の実績であり、将来の利益を保証するものではありません。FX・CFD取引はリスクを伴います。投資判断はご自身の責任において行ってください。