えんむすびAI 開発ストーリー 第2回 ― なぜ「出遅れを買う」のか(発散と回帰)
前回は、3つの円クロスが家族のように動き、たまに一つだけ出遅れる瞬間がある、という話をしました。今回はその続き——なぜ、その出遅れた一輪を“買う”のか。キーワードは「発散」と「回帰」です。
USDJPY・GBPJPY・EURJPYは、どれも「円」を共通の軸に持っています。円が買われれば一緒に下がり、円が売られれば一緒に上がる。だから、長い目で見れば3つは似た方向に動きます。
ところが短い時間では、何かのきっかけで一つだけ動きが鈍ることがあります。これが「発散」。そして発散したズレは、やがて縮んで元の足並みに戻ろうとする——これが「回帰」です。出遅れた一輪は、いずれ仲間に追いつこうとする。そこを狙うのが、このEAの発想です。
ここで一つ工夫が要ります。銘柄ごとに、ふだんの値幅は違います。同じ「30pipsの遅れ」でも、よく動く銘柄では“誤差”、おとなしい銘柄では“大きなズレ”。pipsのままでは公平に比べられません。
そこで、その銘柄のふだんの値幅(ATR)の何倍ズレたかに直して比べます。これを「正規化」と言います。仲間の平均より1.0ATR以上出遅れた銘柄を、買いの候補にします。
「出遅れを買う」の逆——“独走している銘柄を売る”——も、当然考えました。けれど検証してみると、売り側はどう設定しても分が悪かった。出遅れの「買い戻され」の方が、安定して取れたのです。だからこのEAは買い専用に絞りました(売りは実験機能として残しつつ、既定ではオフ)。検証で勝てなかったものは、欲張らず採用しない。これも一つの判断です。
正直に弱点も書きます。この手法がつらいのは、3つそろって下げる「全面円高」のときです。みんなで沈むと、出遅れた一輪も一緒に沈み、回帰がなかなか来ません。回帰を前提にした手法の、構造的な弱点です。
この弱点が、次回のテーマ——「なぜ損切りをなくしたのか」という、いちばん大事で、いちばん危うい選択につながっていきます。
えんむすびAIは、まだ販売していません。これからEA検証ラボのデモで毎日動かし、良いところも危ういところも公開しながら仕上げていきます。完成までの過程を、ぜひ一緒に見守ってください。
※本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。掲載している運用結果は過去の実績であり、将来の利益を保証するものではありません。FX・CFD取引はリスクを伴います。投資判断はご自身の責任において行ってください。