完全放置で安定的に利益を稼いでくれる「聖杯EA」はある?
FX
FX自動売買の世界では、誰もが一度は憧れるキーワード「聖杯EA」。
バックテストもフォワードも右肩上がり、資金が増え続ける夢のようなEAが本当に存在するのか?
今回は、EA開発者で、かつ自分ので作ったEAで自己資金を運用している立場からも、このテーマを考えていきます。
■「聖杯EA」とは何か?
聖杯EAとは、運用者からすると、「どんな相場でも安定して利益を出し続ける完璧なEA」のことを指します。
トレーダーが何もせずに、EAが自動でエントリー・決済を行い、年中無休で資産を増やしてくれる——そんな理想像です。
ドローダウンが発生するにしてもごくわずかで、マイナスが発生してもすぐにプラスに塗り替えて不安を払拭してくれる。
そんなEAがあれば、誰でも運用したいですよね。
しかし現実には、相場は常に変化しています。
世界経済のニュース、金利政策、戦争、想定外の雇用統計など、数えきれない要因でトレンドは変わり、レンジもブレイクします。
■条件がそろえば「聖杯」のように見えることも
とはいえ、ある期間・条件においては聖杯EAは存在します。
たとえば以下のようなケースです。
- トレンドフォロー型EAを使っていて、相場の8割が上昇または下降トレンドだった
 - トラップリピートイフダン系・グリッド系EAを使っていて、価格が設定レンジ内で行ったり来たりしていた
 - レンジ相場特化EAを使っていて、ボラティリティが低く一定の範囲で価格が収まっていた
 
このように、EAのロジックと相場の環境が「噛み合っている」時期には、
どんなEAも「まるで聖杯」のように見えるタイミングが発生することは普通にありえます。
この状態が数ヶ月、あるいは数年続くこともあると思います。
そのような相場に、噛み合うEAを仕掛けることができれば、相当な爆益を得られるはずです。
■未来の相場は誰にも読めない
問題は、その条件が永遠に続く保証はないということ。
トレンドフォローEAが好調でも、突然レンジ相場に転じれば損失が出ます。
逆にレンジEAが順調でも、トレンドが発生すればストップロスの連発を食らうかもしれません。
EAが一時的にマイナスになると、たいていの人は不安になります。
「もうダメだ」「このEAは外れだった」「他にもっと良いのがあるはず」と感じてしまいます。
そして新しいEAを探し始める——いわゆる聖杯探しのループに陥ります。
確かに、ハズレEAもあると思います。
ただ、短期の成績しか見ていない可能性もあります。
長期でプラスを維持しているEAでも、短期で見ると負ける期間は必ずあります。
あとから見て長期的にプラスであっても、短期的にはマイナス期が訪れるのは当然のことです。
EAのパフォーマンスを冷静に見るには、バックテストとフォワードの両方を、年単位で観察する視点が必要です。
■聖杯EAでも、リアル運用中は「聖杯」に見えない
10年以上のバックテストでも右肩上がり、フォワードでも安定して利益を出しているEAであっても、
リアル運用中には資金が上下動を繰り返すため、とても「聖杯」には見えない、というのが現実です。
なぜなら、人間の心理は損失・含み損に強く反応するからです。
どれほど長期で優秀なEAでも、短期マイナスだけを見れば「クソ判定」ができてしまいます。
運用者の心がブレて止めてしまえば、その後増えたはずの資金は当然、得られません。
■本当に安定運用したいなら
本当に安定した運用を目指すなら、次の3点を意識するのが現実的です。
- 失っても良い資金で運用する
 - 最大ドローダウンの2倍の下落が起きても動じない資金設計にする
 - バックテストとフォワードで一貫して良い成績を出しているEAを選ぶ
 
完璧な「聖杯EA」=「短期マイナスが一切なくずっと資金が増えるEA」を探してしまいがちになります。
でも、「聖杯級のEAでも、現実的には、運用中は聖杯に見えない」ということを強く意識して、
「長期的に平均すると勝てているEA」を見極める力を磨く方が、ずっと安定的に資金を増やせるということですね。
今日書きたいことはこんなところです。
それではまた!
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